よくある課題 著者紹介
Rule Content Production

そのマニュアル、
本当に「読まれて」いますか?

就業規則・勤怠ルール・品質基準
これらを日本語からの直訳で渡しても、外国人社員には伝わりません。
「理解できる」形にすることでルールは機能します。

外国人社員がルールを理解できない?

「マニュアルを読みました」と言われた。でもマニュアル通りやってくれない。

就業規則は製本して渡した。マニュアルも共有フォルダに入れてある。「読んでおいてね」と伝えた。確かに本人も読んだようだ。でも、なぜかマニュアル通りに実行されない。

何が足りないのだろうか。何をどうすればいいのかが見えない。

外国人社員がルールを理解できない理由

技能実習生や特定技能人材に日本語で書かれた規約・ルールを見せても、理解が難しいのはわかると思います。

翻訳したのに理解・遵守されない場合、いくつかの理由が考えられます。

1. 直訳では意味が通らない。
機械翻訳や社の事情を理解していない人は直訳せざるをえません。というより、勝手に意訳して間違えたら翻訳者の過失とされる恐れがあります。直訳によって不自然な文章になる。

2. 原文が曖昧である。
元の文章が想像に頼って曖昧なせいで、翻訳結果が違う意味になってしまっている。コンテキストを共有する日本人同士なら伝わることでも、外国人は文字通りに解釈するしかありません

3. 「なぜ」が書かれていない。
「なぜ」を書くことは納得感だけではありません。ルールの意図を正確につかむのに役立ちます。

4. ルールが複雑すぎる、または多すぎる。
不慣れな職場で、不慣れな言語で、大量のルールを一度に理解することは誰にとっても困難です。何が最優先で、何は後でよいのかが整理されていなければ、結局どれも頭に入りません。

外国人社員にルールを理解してもらうには

「ルールを伝える」ために誰もが思い浮かべるのは既存ルールの翻訳です。しかし、ただ翻訳するだけでは不十分な場合が多い。

考えてみてください。日本語ネイティブの新入社員でも、就業規則を渡されただけで内容を正確に理解できる人は多くありません。法的文書は「読ませるため」ではなく「定めるため」に書かれているからです。それを外国語に置き換えても、読みにくい文書が外国語の読みにくい文書になるだけです。

もしくは、社内ルールの場合には端的すぎるケースも考えられます。コンテキストを共有している日本人ならばなんとか想像で補えることも、外国人にはわかりにくい。元の文章が端的だから、翻訳結果はますます意味不明になる。しかし、日本人マネージャーは「プロに依頼して翻訳してもらったのになんで!?」となる。

必要なのは、「法的文書」や「ただのメモ書き」と「教育コンテンツ」を分けて考えることです。就業規則は法的文書としてそのまま保持する。そのうえで、外国人社員に実際に理解してもらう必要がある部分を、別のコンテンツとして設計し直す。

設計し直すとは、具体的には3つのことを意味します。

まず、「ただの翻訳」ではなく「理解できる」を意識すること。異なる背景を持つ相手に対して、日本語からまったく言語体系の異なる言語に変換するのですから、うまく伝わらないことは多々あります。ただ翻訳すればいいというものではありません。

次に、「なぜ」を添えること。ルールの意図を明記することはルールを真に理解することにつながり、記憶としても定着します。また、「遅刻厳禁」と書くだけでは、「禁止」の度合いや遅刻での信用失墜リスクを理解してもらえません。ベトナムではバイク通勤が普通で、渋滞や雨期の豪雨で日本の電車のようなパンクチュアルな交通手段はありません。遅刻に対して寛容になるのはやむを得ないことです。

そして、シンプルで守りやすいこと。日本人だって複雑怪奇なルールは覚えきれないでしょう。まして外国人が不慣れな職場で働くのです。まずは遵守必須なルールを覚えてもらいリスクヘッジする。そして徐々に単純なルールで「ルール」そのものに慣れてもらう。外国語で感情的に何度注意しても、外国人に伝わらないのは当たり前なんです。逆に、あなたなら不得手な現地の言葉で怒鳴られた場合にどう感じますか?複雑なルールについてはおいおい覚えてもらうという寛容さは必要です。